ひどい話だ。 哀傷から産み出された海の中を甘んじてたゆたいながら、刀の化身はひたすら憂いていた。 あの子供が、どれだけ”護る力”を欲していたのか知っている。
無力な自分をひたすら責め、血を吐くように切にその手に”刃”を求めていた頃を。
己は子供の内から生じた者。
故に、分かってしまう。 ”刃”を失った子供は、再び無力感に苛まれるのだろう。
”護る力”の存在を知ってしまった今、それは知らずにいた頃より酷い飢餓にも似た感情となろう。 そしてこの世界は完全に沈むのだ。
子供の絶望と喪失による痛みを孕んだ、雫によって。 己はそんな子供を護りたかった。
誰よりも何よりも護りたかった。
それが例え子供の願いと望みに反したとしても。 「………一護…」 彼は全てを失うのだ。
他ならぬ護りたいと願うモノたちを護るために。 ひどい、話だ。 一滴の涙を流し、天鎖斬月はただ主だけを想った。 本誌での天鎖→一護に対する想いが凄すぎて、日記に衝動的に書き殴った物。
「護りたりたかったのはお前(一護)自身だ」とか…もう…!!