見慣れない景色が通り過ぎていく。
まるで、止める事の叶わぬ刻の流れを見ているようだ。



通い慣れた通学路線とは異なる景観を見つめながら、七代千馗は一人ごちた。
ついで、何となく手に持ったままだった封書に眼をやる。




『封札師認定試験への御案内』




零れた吐息は何に対してのものか。




そっと左手を胸の位置に添える
着慣れた制服の布地の奥に、確かな感触があった。
それを感じるだけで、幾分か落ち着いてくる。






―――――予感があった。
何を意味するのか、何を引き起こすのか、分からないけれども






それはまるで湖面に投じられた一石の如く、波紋が徐々に広がっていくようにして、千馗の胸中を侵食していく。




不意に、それまで動きっぱなしだった景色が止まった。

どうやら目的地に着いたらしい。



「――――行くか」




呟きは誰に聞かれることなく、空気に溶けた。
開けられた扉を潜るべく、千馗は足を踏み出した。








それは、始まりへの一歩