時々いるんだ。
迷いの無い、強い意志と目的を持った眼をした奴。
俺自身、随分前に無くしたモノ。 だから俺は知りてぇ。
そんな眼をした奴を突き動かす、”目的”って奴を。 なぁ―――七代千馗。 「大丈夫か、穂坂」
「うん、ちょっと手が痛いけど、でも平気だよ」
「スカートだからな。余計大変だったんだろう」
「ほんとに……焼却炉の中を降りた先がこんなに深い地層だったなんて、ちょっとビックリしちゃったな」 古い學園に取り壊される事なく、意味深に残されていた一つの焼却炉。
普段ならくだらねぇ怪談話だと一蹴する用件に乗ったのは、ほんの話の成り行きだった。
それが転じて興味を惹く事態になったのは、訳の分からねぇモンを見ちまったのと―――こいつが関わっていると直感したからだ。 七代千馗。
転校初日で自分から事態の渦中に足を向け、前を見据えている男。 焼却炉の前で張ってたら、案の定こいつは来た。
俺の問い掛けにも、目を逸らす事なく「是」と答えた。 こいつを突き動かすものが何なのか―――俺はどうしてもそれが知りたかった。 「だから、お願い。一緒に連れて行って」 予想外だった穂坂からの同行を申し出る懇願。
七代は何も言わず、俺たちを見据えている。 ほんの数瞬の空白。
そして、 「……単なる面白半分による好奇心だというだけなら、力尽くで帰せるんだけど、ね」 一瞬伏せた目蓋を開け―――七代は、笑っていた。 「壇の言う通り、オレには目的がある。この先にそれがあるのかは分からないけれど、だからこそ、行って確かめなければならない。穂坂の言う不思議な事も、起こる可能性はある。―――だから、これだけは覚えていて欲しい」 七代の右手が、ちょうど心臓のある辺りに添えられる。 「オレはまだ未熟で、起こる事全てに対処出来るか分からない。けれど―――中途半端に投げ出す事だけは、したくないんだ」 強い瞳と、言葉だった。
眼を逸らす事なく、はっきりと述べられる意志。 「こんなオレと一緒でも構わないのなら……来てくれ」 笑った顔は、今日一番の鮮やかさを持って。 「………上等だぜ」
「うん……ありがとう、七代くん」 知らず口元に笑みが浮かぶ。
穂坂も、今までで一番いい顔をしてやがる 「それじゃ早速、焼却炉の調査だね!」
「ああ」
「んじゃ、行こうぜ」 そしていざ蓋を開けてみたそこには、とんでもねぇモンが眠っていた。
それでもこいつは眼を逸らさない。
それどころか、さらにその先にあるモンを見据えてやがる。 ……面白ぇ。 七代、お前の言う目的って奴。
しっかりとこの目で見させてもらうぜ。