ふ、とまどろみから覚醒する。
視界にまず入るのは射干玉の髪。
そのまま視線をずらせば、閉じられた目蓋と口から漏れる薄い呼気。



彼が生を刻んでいる、確かな証



それを確認するだけで、零の顔には笑みが浮かぶ。
ふと横を見れば、グローブの外された右手がシーツに置かれていた。



刻まれた刻印に目を細める。



彼と、自分と、もう一人の大切な仲間である少女を結ぶ、絆の証。



そっと手を伸ばし、指の腹で刻印をなぞる。
徒人と違い傷のある、けれど、零にとっては尊い手。




「……ん……ぜ、ろ…?」




寝起きで掠れた声。
視線を向ければ、澄んだ黒の瞳が眠気を湛えたまま、不思議そうにこちらを見ていた。


刻印ごと右手を緩く握り、零は笑った



「……千馗」




夢が醒めても熱は冷めないで




確かな熱が、ここに在った