敵全体の配置を素早く確認する。
多少の距離は問題ない。
花札『萩の屑・壱』『弐』の効力により、意図的にこちらに引き寄せる。
密集する異形のモノたち。
己の武器が十分に届く範囲まで素早く近づき、




手にした童子切安綱で斬り付けた。




断末魔を背に、刀を露払う。
辺りを見回し、隠人の影がないことを認め、息を吐いた。





瞬間、顕れた殺意。





「――――っ」




油断していた。
おそらく、こちらが気を緩める隙を見計らっていたのだろう。
蝙蝠にも似た隠人の姿を認めた時には、敵は既に攻撃体勢に入っていた。




迎撃は間に合わない。




1発貰う覚悟で、腕を交差させ防御の体制に入る。



鋭い牙がこちらに突き立てられると身を強張らせた、





その刹那、






「彷徨う力よ、己に還れ――――」






静かな口上と、それに反した勢いで敵を焼き尽くす黒い焔。
それは、決して自分を傷付けない変わりに、己の目前に迫っていた隠人を殲滅した。





「………七代」




今度こそ敵が全ていなくなったことに、息を吐く。
そして、声の主に苦笑を返した。



「すまない、雉明。助かった」
「………怪我は」
「大丈夫だ。お前のおかげで掠り傷一つない」




嘘ではない。
自分の身は出来る限り自分で護るようにしているつもりだが、今みたいに彼に助けられる事は、既に両の手で数える量を越している。



「少し、休んだ方がいい。……顔色が、あまりよくない」
「……そう、だな。どうも集中力が落ちてるみたいだ」



真撃な瞳で告げられた言葉に、思わず額に手をやる。
思ったよりも疲労が蓄積していたようだ。



ふ、と刀を握っていた手に別の温度が重なった。
顔を上げれば、透明な瞳と視線がぶつかる。



「ずっと立っているのも、よくない。どこか、座れる所に行こう、千馗」
「雉明、」



「……きみは、おれが護る。かならず、だ」





いつだって、零の言葉は真っ直ぐだ。
だから、自分は思わず苦笑してしまうしかない。





「………ありがとう、零」





俺の言葉に、零もそっと笑ってくれた。





傷付けるものは許さない




戦闘は脳内イメージ
敢えてナビである鍵さん&鈴を出さなかったのは仕様です←